2009年夏の高校野球第16日・決勝2009-08-24 Mon 23:42
日本文理
011 000 115=9 200 006 20X=10 中京大中京 1953年、高知県の土佐高校は夏の甲子園決勝で、延長13回の末に愛媛・松山商に敗れ、準優勝に終わりました。しかし、その溌剌としたプレーと伝統の全力疾走が評価され、当時の新聞は「優勝旗なき優勝校」と土佐高を称えたと言います。 そしてこの2009年、夏の甲子園の決勝戦。敗れた日本文理も「優勝旗なき優勝校」と呼んで差し支えないのではないか。そう思いたくなるほど、日本文理が見せた反撃は素晴らしかったです。 6点リードされた日本文理は9回二死という絶望的な状況にまで追い詰められたところから驚異的な猛反撃を開始しました。4安打に3四球と、少しずつできることを積み重ね、繋いで繋いで中京大中京を猛追。その背中が視界に入り、もう真後ろにまで迫ったその瞬間、日本文理の球運は惜しくも尽きてしまいました。 二死一、三塁から8番・若林が中京・森本の直球を芯で捕えました。打球は痛烈、同点か! と誰もがあっとした瞬間、ボールは中京の三塁手・河合のグラブに吸い込まれました。運命の分かれ道と呼ぶにも余りに際どいライナーでゲームセット。もう1メートル左右どちらかに逸れていれば。飛んだところが不運としか言いようのない打球でした。 試合は前半、互角の攻防を繰り広げ、後半に中京が突き離す展開でした。特に6回裏、堂林の勝ち越し2点適時打に始まる猛攻は、そのまま試合が決まるかという展開でした。 特に二死満塁、中京の6番・伊藤隆比古の一塁寄りの投手ゴロで、一塁手武石も打球処理のために前進。伊藤投手が捕球して一塁へ送ろうとするも、武石はベースカバーに入り切れず、三塁走者も打者もセーフ(記録は内野安打)となって失点。手痛いミスでした。直後に伊藤は7番・柴田に走者一掃の左越え二塁打を浴びて、この回6失点。大きくリードを広げられてしまいました。 日本文理はこの失点が痛かったことになりますが、逆に言えば中京大中京はこの得点があったからこそ、辛うじて逃げ切ったとも言えるでしょうか。日本文理の9回の猛反撃、そして報道での各コメントを見る限り、中京大中京は「勝った」というより「生き残った」という感覚に近いのではないかとすら思えました。 私の判官びいきも否定しませんが、日本文理の反撃は本当に素晴らしかった。新潟県では今後20年くらいは語られるんじゃないでしょうか。新潟勢にとっては本当に大きな足跡を残しました。 奇蹟が起こるのではないか――そういう期待を呼び覚まされたくて、野球を見てる人って多いんですよね。 また来年もこんな高校野球を見たいものです。本当に飽きないんですよねえ、高校野球は。 中京大中京、おめでとう。日本文理も本当によく頑張りました! |
2009年夏の高校野球第15日・準決勝2009-08-24 Mon 00:23
雨はやはり降ってくれなかったか……夏の高校野球は準決勝でした。
第1試合 日本文理(新潟) 2−1 県岐阜商 新潟勢が決勝に進出することを、大会前は一体誰が予想したでしょうか。この日も日本文理が4試合連続となる二桁安打を放ち、エース伊藤も二桁奪三振の好投。これまでの新潟勢とはまったく質の違う強さがあります。 県岐阜商は今日もエース山田が粘りの投球でピンチを切り抜けます。しかし打線がこの日は繋がりませんでした。特に惜しかったのは3回一死二塁と8回無死二塁。特に後者は2番・藤田の痛烈なライナーが遊撃・高橋に好捕され、走者も戻れず併殺となってしまったプレーです。 しかし、これも県岐阜商のミスとは言い難い。わずかに球運が及ばなかったということでしょう。 県岐阜商の今大会の奮闘は素晴らしかった。PL学園、帝京と東西の横綱を連破し、古豪復活を華麗に宣言。低迷していた東海地区の強豪の歴史を振り返れば、凄い実績がそこから出てきます。出場回数27回、春夏4回の優勝、6回の準優勝……先輩たちに恥じない戦いぶりでした。 今回は惜しくも準決勝で敗れましたが、「県岐商はこうでなくては」と思った方も多いでしょう。この強さを維持して欲しいと願います。 第2試合 中京大中京(愛知) 11−1 花巻東(岩手) 私が「菊池雄星」の名を知ったのは2年前の7月でした。地方大会の記事を読んでいたとき、「岩手の花巻東高に145km/h以上の速球を投げる凄い1年生がいる」という情報を得ました。 花巻東? 名前は聞いたことがあるけれど、甲子園の常連校ではありません。だから妙に気になっていました。 その「凄い1年生」は1ヵ月後、甲子園にやって来て救援登板も、新潟明訓に0−1で敗れました。 しかし、「2年後はこの投手が高校野球の中心になるかもしれない」。根拠もなく、ただ願望に近い中でそう思い、一人の東北生まれの野球ファンは、こうして彼に夢を見ることになりました。 今春、選抜大会でその実力をいかんなく見せつけた菊池雄星は、そんな野球好きの願望を現実のものとしました。全国の強豪を薙ぎ倒して堂々の準優勝を果たし、彼ならばあるいは東北地方に優勝旗をもたらしてくれる。その願いは日に日に強まっていきました。 その頂点をかけたマウンドに彼がいない。この時点で、私の夢は半ば霧消していたと言ってもいいでしょう。息をするだけで痛むという背筋痛では、彼の登板回避も止むを得ません。 試合展開も苦しかった。4回表、一死一、三塁からスクイズ失敗の併殺を見た時点で「ああ、これで中京の勝ちだな」と思ってしまいました。 直後に中京大中京の猛打が炸裂し、救援登板の菊池も11球でノックアウト。花巻東、そして東北地方の野球ファンが彼に託した夢は終わりました。 ほぼ2年間の長い夢でした。今はもう、「本当にお疲れ様でした」と言うしかありません。 間違いなく菊池は上のレベルへと進む逸材でしょう。夢の続きはそこで見せてください。 明日……いや、日付はもう変わりましたね。今日の試合は以下の通り。決勝戦です。 日本文理(新潟)−中京大中京(愛知) 中京大中京は七度目の決勝進出。過去六度の決勝では全勝しています。 日本文理がその牙城を崩せるでしょうか。新潟勢が新しい歴史を狙います。 私も雪国の出身ですから、新潟・日本文理には親近感が湧きますねえ。明日は県の歴史を塗り替える快挙を掴み取って欲しいです。 |
2009年夏の高校野球第14日・準々決勝2009-08-22 Sat 21:27
準々決勝も2日目。関西は明日も好天のようです。
このタイミングで雨が降れば、投手の負担もかなり変わるのですけど。 第1試合 県岐阜商 6−3 帝京(東東京) 県岐阜商が序盤の猛攻で奪ったリードを守り切りました。特に3回、2四球に3安打を絡めての大量点が大きかったですね。ワンバウンドで一塁頭上を超えた6番・横山の適時二塁打が、帝京に最後まで大きく圧し掛かりました。 エース山田は12安打を許しながら、外角低めにスライダーを集め、中盤には緩いカーブも交えて帝京打線に効果的なバッティングをさせません。ピンチを迎えてからが冷静でしたね。 帝京は平原−伊藤−山崎−鈴木と、いずれも145km/hを超える4投手の豪華リレーで追撃の機会を待ちますが、平原の不調降板を受けた1年生・伊藤がピンチをしのぎ切れず、この継投策も後手に回った形になってしまいました。あと一手早ければと思いますが、そこまで要求するのはやはり酷でしょうか。 投手層の厚さと隙のないプレーから優勝候補に挙げられた帝京ですが、高校野球は一発勝負のトーナメントという形式上、豊富な投手陣に頼るより、一人のエースにすべてを託して腹をくくる――そんなチームが勝ち上がっていくことがよくあります。今年の県岐阜商はそんな例に該当しますね。 投手力ならば帝京を上回るチームはちょっと見当たらないのですが、完投したエース山田が帝京の豪華投手陣よりも頼もしく見えました。 県岐阜商の四強進出は実に45年ぶりです。かつて「東海地区で勝つのは甲子園で勝つよりも難しい」と言われた時代の主役が、まるで往時のように力強く勝ち上がっています。 第2試合 中京大中京(愛知) 6−2 都城商(宮崎) 中京大中京が都城商の旋風に幕を下ろしました。初回、都城商の先発・新西投手が5番・磯村に浴びてしまった先制の3点本塁打が、一気に流れを奪い去りました。二死から走者を溜めて失点したのもまた痛かった。都城商、最初から追う展開になったのは辛かった。 序盤の失点ならば都城商も反撃できる――と思っていましたが、今日は中京大中京の先発・堂林が絶好調でした。中盤に2失点したものの、5回以降は1四球のみで安打を許しません。尻上がりに調子を上げ、打撃でも7回に適時打を放って駄目押し。投打にわたる堂林の活躍で、中京大中京が勝利を収めました。 都城商は堂林の降板後、2番手の藤本が踏ん張りましたが、7回に力尽きました。藤本は打撃でも堂林にタイミングが合いません。中軸で7安打の中京大中京に対し、都城商は1安打。どっしりと構えてしまえば、やはり横綱は強い。そんな試合展開でした。 それにしても都城商、ここまでよく頑張りました。28年ぶりに出場した公立校が強豪を破っての八強進出は立派な成績です。今大会でも印象に残るチームですね。 明日の試合は以下の通り。ついに準決勝です。 2か月前に4040を数えた参加校もついに4チームを残すのみですね。 第1試合 日本文理(新潟)−県岐阜商 第2試合 花巻東(岩手)−中京大中京(愛知) 戦前から長い歴史と実績を持つ東海地区の古豪と新鋭――準決勝はそんな構図となりました。 第2試合は背筋痛を訴えた菊池投手が投げられるかどうか。そこに大きく左右されるでしょう。 いや、本当に雨で中止にでもなりませんかね? 2日くらい降ればなあ。 |
2009年夏の高校野球第13日・準々決勝2009-08-21 Fri 23:13
今日見ることができたのは、第1試合の終盤のみでした。が、それだけでも満足できそうなほど濃密な内容でした。これだから高校野球に「飽きる」ってことはないんです。
第1試合 花巻東(岩手) 7−6 明豊(大分) 「君たちは本当に高校生なのか?」。そんな感想を持ちたくなる激戦でした。 花巻東の先発・菊池が、屈指の破壊力を持つ明豊打線を前半ほぼ完璧に封じ込めたかと思えば、彼がアクシデントで降板した後、明豊が2番手猿川を捕まえて終盤に引っ繰り返し、花巻東は9回に驚異の粘りを見せて追いつく。救援で2度目の登板となった今宮が、続くピンチを最速154km/hの速球で圧倒、そして延長戦でその速球を叩いて決勝点を挙げる花巻東……まさに死闘でした。 もう高校野球のレベルとは思えません。菊池が降板しても花巻東には底力がありますね。猿川投手も140km/hを超える速球に力があり、走塁中に交錯しながらも試合に出続けた佐藤涼平も、小柄ながら粘りとガッツが感じられます。決勝打を放った3番・川村も今日はいい場面で打ちました。 途中降板の菊池は検査の結果、背筋痛とのことで異常はないようですが、準決勝の登板は微妙なところです。花巻東、次は猿川に任せるか、それとも菊池と一蓮托生か。 準々決勝後、2日くらい雨でも降りませんかね……。 ちなみに岩手県勢、夏の四強進出は1919年の盛岡中(現・盛岡第一)以来90年ぶりだとか。今大会が91回目ですから、まさに黎明期ですね。甲子園球場もまだなかった時代です。 第2試合 日本文理(新潟) 11−3 立正大淞南(島根) 新潟勢の登山ルートに立ち塞がっていた八合目の万年雪を、日本文理の熱さが融かした――などと表現したくなるような、見事な快進撃です。春夏通じて新潟勢が初の四強進出を果たしました。 日本文理は3回戦まで好投を続けてきた立正大淞南・崎田投手に毎回安打を浴びせ、19安打11得点で圧勝しました。3試合連続の二桁安打で、八強の長いトンネルを抜けると真紅の大優勝旗もついに見えてきました。 雪深い越後にようやく訪れた暑い夏。日本文理がいよいよ未知の領域に足を踏み入れます。 立正大淞南は新型インフルエンザで更にメンバーが減り、13人で試合に臨みましたが、投打ともに力尽きてしまいました。聞けば控え投手もインフルエンザでベンチから外れていたとか。キャプテンの林田が昨日インフルエンザで発熱したのも大きかったかもしれませんね。 それでも初出場で八強入り、特に終盤の劇的な展開は最高でした。「立正大淞南」の名はこの好ゲームとともに思い出されることでしょう。 明日の試合は以下の通り。準々決勝・2日目です。 第1試合 県岐阜商−帝京(東東京) 第2試合 都城商(宮崎)−中京大中京(愛知) カードと名前だけを見れば甲子園常連の私学2校が優位だと思われますが、県岐阜商も投打にバランスが良く、都城商も決して侮れるチームではありません。どんな試合になるか楽しみです。 |
2009年夏の高校野球第12日・3回戦2009-08-20 Thu 23:44
今日は第1試合の9回まで見ることができました。この試合は最後まで見たかった……。
第1試合 明豊(大分) 8−6 常葉橘(静岡) (延長12回) 明豊の先発・野口投手を打ち崩してリードを広げた常葉橘。そして常葉橘の好投手・庄司を少しずつ追い詰めていく明豊。投打ともに白熱の好勝負だったと言えるでしょう。 明豊の2番手・今宮の153km/hには驚きましたね、ここまでのスピードが出るとは。常葉橘の選手もあんな速球はまず見たことがないでしょう。それを三遊間に打ち返した庄司の打撃も凄かった。 しかしこの試合で一番熱かったのは、常葉橘1点リードで迎えた9回表・無死三塁の場面でしょう。 一打同点の場面で打席に入ったのは今宮。庄司投手は試合前から今宮との対決を心待ちにしていたとのことです。この極めて重要な場面で庄司はすべて直球勝負を挑みました。巧みなバットコントロールで一、二塁間を痛烈に破った今宮に軍配が上がりましたが、試合の勝敗を越えたところにある対決だと思ってしまいました。 今後この2人がプロ入りして名勝負を繰り広げるようになれば、「このゲームはその第1ラウンドとして語られるかも」などと、野球狂にありがちな空想までしてしまいました。 第2試合 中京大中京(愛知) 15−5 長野日大 2試合にわたって際どい打撃戦を制してきた長野日大だけに、また乱戦となれば分があるだろうと思っていましたが……同点に追いついた時は「今の長野日大なら一気に流れを掴める」と思ったのですが、ここで投打ともに力尽きてしまいました。チームの勢いからして、中京大中京が相手でも面白いと睨んでいましたが……。 中京大中京の投手陣は層が厚いですね。エースより凄い球を投げる投手がいるんですから。 2番手で登板した森本投手が145km/hの速球で長野日大打線を沈黙させます。5回以降はわずか1安打に抑え込み、長野日大に反撃を許しません。6回以降はようやく打線も目覚めて大量得点。中京大中京が調子を上げてきたようです。 第3試合 花巻東(岩手) 4−1 東北(宮城) 花巻東・菊池は完全に復調を果たしたと言っていいでしょう。長崎日大戦では不調だったので、横浜隼人戦で復調したとしてもそれが持続するかどうか、そこが気になっていました。 しかしこの3回戦でも6安打1失点ともなれば、もう安心して見ていられる状態にまで戻ったと判断されるでしょう。154km/hを記録して自己最速を更新するなど、投球にも凄味が出てきたようです。 第4試合 都城商(宮崎) 4−1 智弁和歌山 実は一番楽しみにしていたのがこの試合でした。都城商はどこまで強いのか。もしベスト8に進出するようなら、しかも智弁和歌山に勝つようなら、投打ともにその実力は本物です。 結果は見ての通り、本物と言わねばなりませんね。いや、むしろ過去2試合でそこまで判断できなかった私に見る目がないと言うべきか(笑)。都城商の甲子園出場は28年ぶりですが、その28年前にも八強進出を果たしています。ユニフォームの"TOSHO"もすっかり強豪校のような色彩を帯び始めました。「都商旋風」はまだまだ吹き続けます。 明日の試合は以下の通り。いよいよ準々決勝です。 第1試合 花巻東(岩手)−明豊(大分) 第2試合 立正大淞南(島根)−日本文理(新潟) 第1試合・花巻東−明豊は春の先発でも対戦したチーム同士の対決です。花巻東がまた勝つのか、それとも明豊が雪辱するか。 花巻東・菊池は連投になりますね。スタミナや肩の疲労がどうなるか気になるところです。 第2試合もいい勝負になりそうです。どちらを応援するか迷いたくなる好チームですねえ。新潟、島根と甲子園では余り上位進出の機会に恵まれないチームだけに、潰し合うのはどうも勿体ない気がしてしまいます。 |
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